PET検査で緑内障を早期に見つける
【PLoS One. 2012;7(1):e30526】
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緑内障は、眼圧が長期間にわたって高いままになり、その結果視神経や網膜が傷つくためにおきると考えられていますが、眼圧が正常でも進行することがあり、眼圧測定だけでは緑内障を診断できないことが分かってきました。また緑内障で障害を受けるのは視神経だけでなく、目からの情報を受け取る脳神経のほうにより強く影響が現れる可能性も指摘されており、早期診断法の開発が望まれています。
当チームは岐阜薬科大学薬効解析学(原英彰教授ら)との共同研究で、緑内障モデルサルを用い、緑内障患者の脳内で何が起きているかを分子イメージングで調べました。脳神経の異常はしばしば炎症反応を伴うことが知られており、そこでは免疫担当細胞であるマイクログリアが活性化します。
早期の緑内障に相当するサルでPET検査を行ったところ、目からの視神経が脳の神経とシナプスを作る最初の場所(外側膝状体)でマイクログリアが活性化していることを発見しました。また緑内障の進行に伴い、外側膝状体の神経変性が起きることも病理組織検査で確認できました。これらの結果は、これまで目のみの疾患と考えられてきた緑内障が、脳のPET検査で正確に診断できる可能性を示すものです。今後この検査法をヒトに応用し、非侵襲な緑内障の早期診断法として実用できるか研究を進めていきます。